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サーバー、作ってみよう

以前「サーバーとは」という記事で、ITインフラとして利用されているサーバーがどのようなものかを簡単にご紹介しました。

サーバーは提供するサービスによって規模が変わります。世界中の人が利用するSNSや動画投稿サイトであれば、想像もつかないような大きな規模になります。

一方で、個人が自宅で使えるような規模のとても小さいサーバーもあります。「自宅サーバー」と呼んだりもしますね。

サーバーと聞いて難しそうだなとか、自分には縁がないなと感じた方も多いかもしれませんが、実は意外に手軽にサーバーを構築できるものなのです。

そこで今回は、趣味にも使える個人ユースのサーバーを設置する方法をご紹介しますので、少しでも興味を持たれたら、ぜひサーバー構築にチャレンジしてみてください。
最後に動画も紹介しています。ぜひご覧くださいね。

サーバーで利用するオペレーティングシステム(OS)

規模や形態を問わず、サーバーOSにはLinuxが利用されることが多いです。今回の自宅用サーバーもLinuxをインストールして利用することになります。

サーバーと聞くと、データセンターなどの大きなラックを想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、自宅用なので基本的には一般的なパソコンにLinuxをインストールしてサーバーとして利用することになります。

Linuxサーバーを構築する方法として、以下の2つをご紹介します。

市販のパソコンにLinux OSをインストール

Windowsやmac OSがインストールされているコンピューターを使う方法です。元々OSなどが入っているところにLinux OSを上書きして、Linux専用コンピューターを構築します。当然既存OSは使えなくなりますのでご注意ください。
不要になった古いPC等がある場合に選択する方法でしょう。

普段使っているパソコンに外付けストレージ(HDD/SDD)を接続して、そちらにLinuxをインストールして用途に応じてOSを切り替えて利用するという方法もありますが、サーバーは「常時稼働」で利用するので今回の目的には不向きなのでオススメしません。

シングルボードコンピューターにLinux OSをインストール

シングルボードコンピューターは、単体の基盤に動作に必要なハードを集約した小型のコンピューターです。基盤むき出しですが、実際にできることは一般的なコンピューターと変わりありません。代表的なものとして、教育用途を目的として開発されたRaspberry Pi(ラズベリー・パイ:以下ラズパイ)があります。

今回は、後者のラズパイを使ってサーバーを構築する方法をご紹介します。

ラズパイ(通称)とは?

ラズベリーパイ、通称「ラズパイ」は、プログラミング教育用途に開発されたシングルボードコンピューターで、2012年の発売以来、さまざまなモデルが発売され、10年間で性能が飛躍的に向上してきました。

メインストリームのモデル1〜4以外に小型基盤採用のZeroシリーズやキーボード一体型の400などが発売されています。

今の主流のモデルの仕様を少しご紹介しますが、パソコンを選ぶときに見かけるキーワード(CPUやメモリなど)が並んでいるところから分かる通り、一昔前のパソコン並みの性能を備えているのが分かると思います。

Raspberry Pi 4 の主な仕様

  • CPUコア:Cortex-A72(ARMv8-Aアーキテクチャを持つ64ビット対応CPUコア)

  • CPU動作周波数:1.5GHz

  • 内蔵GPU:VideoCore VI

  • メモリは2GB/4GB/8GBから選択が可能

  • USB3.0 x2、USB2.0 x2

  • micro HDMI x 2

  • ギガビットイーサネット対応

  • 電源コネクタ:USB Type-C

周辺機器との接続に必要な拡張性もかなりのものであるのが分かると思います。10年間で性能は飛躍的に向上したので学習用途や趣味用途のサーバーであれば十分なスペックを備えていると思って問題ないです。
(ただ現行の一般的なパソコンの性能には及びませんので、その点はご注意願います)

ラズパイを使ったサーバー構築に必要な機器と諸費用

ラズパイ本体はいろいろな調達方法がありますが、最も安心なのは国内正規代理店経由での購入です。国内正規代理店はKSY、RSコンポーネンツ、スイッチサイエンスの3社です。

本体のみの価格は2022年7月現在で1万円前後となっています。昔のモデルは5,000円~7,000円程度で購入できましたが、昨今の半導体不足から品薄となっており、さらに円安で高止まりとなっています。

初心者の方には、電源アダプターや専用ケース、OSを動かすのに必要なSDカードなどがセットになったオールインワンキットをオススメします。キットは内容にもよりますが16,500円程度で購入可能です。

ラズパイの基本的な使い方

ラズパイをデスクトップパソコンの代わりのように使うか、サーバーとして使うかで、設定が変わります。

パソコンとして使う

Paspberry Pi OSで動かし、本体にディスプレイやマウス、キーボードなど周辺機器を接続してデスクトップパソコンのように使います。かなり軽快に動作しますので、まずはこちらでラズパイの実力を体感してみるのが良いでしょう。

Ubuntu Desktopなど、導入するLinux OSの種類によっては、キビキビした動作は期待できないので注意が必要です。

サーバーとして使う

Linuxなどサーバー用のOSをインストールし、手持ちのパソコンからラズパイにアクセスし必要な設定を行って使っていく、という運用です。他の周辺機器がなくてもラズパイ本体のみで運用可能な点が大きな特徴です。家庭内ネットワークへの接続が前提となります。

代表的なサーバーとしては、ファイルサーバーがあります。大学の授業に関係するファイルが出先から見れたらいいですよね。家族がいれば写真や動画ファイルの共有もできます。パソコンだけでなく、スマートフォンからでも共有ができるので便利です。

ブログのシステムとして使われる「WordPress」もサーバーアプリなので、日記用にブログサーバーを利用するなんてこともできます。

ラズパイを趣味に生かす

ラズパイは、今回のようにLinux OSの利用方法を学ぶ目的はもちろん、プログラミング学習や電子工作用途で利用されることが多いですが、趣味用途で自宅用の音楽サーバーとしても活用されています。

ラズパイ専用のDAC(D/Aコンバーター)と大容量ストレージの組み合わせなどで非常に高音質な音楽が楽しめる環境がかなり安価に構築できます。

Volumioなど、Linuxベースの専用OSが無償で公開されており、導入方法を解説しているサイトも多いので興味のある方はご自身で色々調べてみてください。

まとめ

ラズパイのようなシングルボードコンピュータがあれば、手軽にLinux環境が利用可能になり、趣味にも使える自分用のサーバーが構築できることがおわかりいただけたかと思います。

Linuxの学習にも使えて便利ですので、興味を持たれた方はぜひLinux環境ならびにサーバー構築にチャレンジしてみてください。勉強用に使った後はぜひ趣味にもいかしてくださいね。

実際の構築方法についてはLPI-Japanの以下のセミナー解説動画などを参考にしてください。


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